よみものrecommend

2015/01/14

鬼はもとより

書評で知り、ちょっと変わった時代小説らしく面白そうなので読んでみました。
江戸時代のビジネス、経済小説? でもちゃんと時代物になっています。

前半は正直なところわりとふつう、というか正直ちょっと眠いな...
と、たらたらページをめくっていたのが、
主人公がとある貧しい小藩に深くかかわりはじめてからは俄然面白くなり、
そして前半の「わりとふつう」な部分がとても大事であったこともわかります。

ひとつの藩の経済をがらっと変えるということは政治的にも大手術をするわけで
そちらの面でもハラハラするし、ロマンスもあるような、ないような。友情は大いにあり。
さほど長い話ではないけれど、人とそれにまつわる物語がたくさん出てきて、
且つ各エピソードを無駄遣いしていないのがいいです。

そして、(これで!)とちょっと唖然とした一行で終わります。
(上手だと思う)

貧しさが貧しさを招き膨れ上がった末に、一番深刻な問題が貧しさそのものではなくなるのは
まさにいま現在に通じるテーマではないかと。

鬼はもとより (文芸書)

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2015/01/07

図書館奇譚(?)

新年初の図書館でした。

昨年の本を選んでいたとき、なかなか候補が挙がらなかったのは、実は
図書館で借りた本のほうが買った本よりずっと多かったからでもあります。
借りた本だからダメということではなくて、
返却期限を気にしながら、そして時には「いま、ではない」タイミングで
予約した本が回ってくることも。
つまらない本はほとんどなかったにもかかわらず、
そのときの落ち着かない気持ちがよみがえってしまったのでしょう。

そして、とうぜん借りた本が優先され、買った本は積読山脈へ...
というわけで、今年は(少なくとも昨年よりは)借りる本の数を抑えるぞと
決意したはずなのですが...
予約の2冊を受け取りに行き、帰りには5冊抱えていました。おかしいな。

そのうちの1冊、これはなかなかすてきでした。
様々な人の思い出のつまった箱、箱メーカーへの取材、
カバーの麗しいゼリーのように、もらってうれしい箱入りの贈り物、
そしてなんといってもガーナ共和国の棺(!)


|| 箱覧会

箱覧会 箱覧会 箱覧会

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2014/12/31

今年の5冊 2014年編

なんと、まる1年ぶりの更新です。
本人ですらログインできるか心配したほどですが
読んでくださっている方いらっしゃるでしょうか。

ときどき発作的にブログを再開しよう、と決意するものの、
なんやかやと忙しく(あるいは時間の使い方がますます下手になり)
1年ぶりに(無事)ログインし、これを書いています。
先日、Tumblrから始めて1年ですというメールが届いたことで
ああ私にはTumblrは合わなかったな...とあらためて自覚し、
ブログ再開を真面目に考えているところです。

* * *

タイトルどおり、恒例の「今年の×冊」を選んでみました。
いつもは10冊でしたが、今年は200冊ほど読んだわりには
読んでいる時は楽しいんだけど、「今年の!」というほどのものは
あまりなくて。
無理やり選ぶよりも、これは「今年の!」と断言できるものを
5冊、挙げることにします。
テーマは「あっけにとられた本」、
だから面白かったけど「あっけにとられた」わけではない作品は除きました。
(今年出版された作品とは限りません)


|| 妻が椎茸だったころ

妻が椎茸だったころ

妻が椎茸なんですよ? でも本当に椎茸。


|| なんでそんなことするの?

なんでそんなことするの?(福音館創作童話シリーズ)

個性を差別のもとにするのでなく「自分のこと」として認識してもらうことを
こんな風に表現する方法があると、青田さんやひろせさん、
トキオやミケに教えられました。
自分の隣にミケがいると信じられたら、「なんでそんなことするの?」と言える
勇気ももちうると思うのですが。


|| 帰ってきたヒトラー(上・下)

帰ってきたヒトラー 上 帰ってきたヒトラー 下

この小説をおもしろいと思うのが不謹慎と感じることと、
なぜ不謹慎と感じるのか? を考えていくと行き止まりにぶつかる。
「おもしろい」とはっきり言えるし不謹慎と思えることは、つまり幸せなのかも。
そして翻訳ものが苦手な私がするすると読めたことも、個人的には驚くべきこと。


|| ドミトリーともきんす

ドミトリーともきんす

『るきさん』もすごいと思っていたけれど、この作品でもっと好きになった、
というよりもただただ尊敬してしまう。
科学に縁遠い私に、彼らの本をぜひ読んでみたいと、ミーハー丸出しに
(できれば「読んでみたい」のあとにハートマークをつけたい)
思わせてくれた、すぐれた読書案内。
と同時に、漫画としての、とくに線のすごさ。


|| まばたき

まばたき (えほんのぼうけん67)

この絵本を12月に目にしたことで、今年は「あっけにとられた本」というテーマにしたいと
思わされたのかもしれません。
正確には「あっけにとられた」というよりももっと繊細で残酷な驚きか。
まばたきの一瞬の間に起こることを知ることができない私たちに
まばたきが隠してきたものを少しだけ、この絵本が教えてくれます。


おしくも5冊に入れられなかった1冊のことも。
『チオベン 見たことのない味 チオベンのお弁当』。
1品作ってみましたが、すごくおいしかった。
(使った油がおいしいせいかもしれませんが、いずれにせよ
そんな油の使い方考えたこともない、という料理)
そのうえで、「こんな料理本があるのか」とあっけにとられた本。
本のデザインやお弁当が奇天烈なわけではなく、料理本そのものがユニーク。
ちなみに私はお弁当を作りません。

* * *
久しぶりに長い文章を書いているうちに、昔の感覚がよみがえってきました。
きっと、また、近いうちに。

どうぞよいお年をお迎えください。

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2013/12/31

今年の12冊 2013年編

2013年も残りわずかとなりました(あと3分ほど...)
来年はこのブログ、どうしましょうね...?

というわけで、今年も10冊選ぶつもりが、時間もないし(笑)各月の1冊をできるだけ「買った本」の中から(借りた本には※をつけてます)選んでみました。
前にブログで取り上げたものも多くかぶるので、コメントなしで。

1月 『スタッキング可能』松田青子

スタッキング可能


2月 『レ・ミゼラブル 百六景』鹿島茂

「レ・ミゼラブル」百六景〈新装版〉 (文春文庫)


3月 『ファッションフード、あります。 はやりの食べ物クロニクル1970-2010 』畑中三応子

ファッションフード、あります。: はやりの食べ物クロニクル1970-2010


4月 
『往復書簡 カメオのピアスと桜えび』清野恵里子、有田雅子

往復書簡 カメオのピアスと桜えび


5月 『カラスの教科書』松原始、植木ななせ※

カラスの教科書


6月 『空席日誌』蜂飼耳

空席日誌


7月 『食記帖』細川亜衣

食記帖


8月 『工場』小山田浩子※

工場


9月 『アンソロジーお弁当。』

アンソロジー お弁当。


10月 『文字の食卓』正木香子

文字の食卓


11月 『冬虫夏草』梨木香歩

冬虫夏草


12月 『ひとりの体で』ジョン・アーヴィング※

ひとりの体で 上 ひとりの体で 下

それでは、みなさまよいお年をお迎えください。来年もどうぞよろしく。

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2013/11/29

秋の読書(の一部)

またもや丸1か月、開いてしまいました。

先日また小倉城の猫の写真を撮ったのですが(スマフオで)いまひとつきれいではなくて。
そのときは三毛猫をなでていたら、茶トラが近づいてきて、さらにサビが...というパラダイス状態で、でも(これは、猫おばさんと思われそうだ)という冷静な判断も働き、そのへんで帰りましたが。
エサはやりません。なでるだけです。

猫話はさておき、久々に本の話。
前回は9月(!)だったので、その後の読書ですね。この期間はなんとなく、途中で(思っていたのと違うな...)という本もけっこうあって、でもビンボー性なのでいちおう最後まで読むんです。時間がもったいないと思いつつ。

そんな中、全体に面白かったのがまず『アンソロジーお弁当。』カバーの写真がいい味を出してるし、執筆陣がまたいい。個人的には池波正太郎、角田光代、木内昇、沢村貞子、向田邦子あたりを楽しみにしていて(読んだことがあるものも多かったのですが)でもその他の方たちもいいです。とくに昭和天皇の侍従長の「お上のお弁当を食べた話」。陛下のお弁当を(それは召し上がらなかったとはいえ)こんな扱いにしていいのだろうか、と思うような話ですが、後でお話して大笑いされたらしい。

『昨夜のカレー、明日のパン』もよかった。とはいえ買ってからずいぶん放置していて、それは主人公と、亡くなった旦那さんのお父さんが同居している云々というのがなんかちょっと嫌だな、と感じたから。しかし販促用の冊子で1章分読んでみると、面白くてあっというまに読み終えてしまい、危惧していたような内容でもないことがわかったので、安心して単行本に着手できたというわけ。人の死にわりとストレートに向き合いつつ、しんどくならない物語。

小説ではほかに『冬虫夏草』『冬のフロスト』『針がとぶ』。『冬虫夏草』は『家守奇譚』の続編で、前作ではほとんど家の中か近所ばかりうろうろしていた主人公が冒険に出て、ストーリーもちょっと広がった感じ。イワナの夫婦が営む宿屋なんて惹かれるではないですか...。フロストは同じパターンの展開が多いように感じたものの、やはり面白かったです。悲惨な事件ばかりなのにフロストのキャラクターとワーカホリックぶりに救われる。たぶん3回目くらいの『針がとぶ』、このころ(単行本はなんと10年前)の作品の方が物語のつながりに優雅さがあったかな、最近の作品はやや凝りすぎていて、文体も昔のほうが素朴でよかったかなぁ。単行本も文庫本も同じミヒャエル・ゾーヴァの、なんとも「きゅー」となってしまう絵。

なんの気まぐれか『書き出し「世界文学全集」』も借りて読んでみたのですが、あらためて自分は翻訳もの、とくに名作とよばれるものは合わないわと思ったものでした。だってこの本の中で読んでみたいと思ったのは「I Am a Cat」と「The Tale of Genji」...もちろんこれは私の場合で、柴田先生の新訳により古めかしい名作がすごく魅力的に感じられる人も多いのではないでしょうか。

最後に、いちばん印象が強かったのが『文字の食卓』。さまざまな本の書体を食べ物になぞらえたエッセイ集で、その本の一部が実際に見られるわけですが(「○○体」という種類も説明してくれる)文字のかたちだけでこれほど広い話ができますか、逆に個人的な体験を深めていけるものですか、と感動してしまいました。なぜか読んでいるとちょっと切なくなってしまうのも不思議。それでいて、けっこうマンガの書体も出てくるので親しみも感じます。ハチクロのあのシーンね、なんてにやにやしたり。しかしこれほど書体そのものを見分けて物語る才能がある著者は、音楽でいえば絶対音感のようなものの持ち主なんだろうな、と、せいぜいゴシック体と明朝体の区別がつく程度のフツーの耳ならぬ目をもつ私は思うのでした。あ、でも『窓ぎわのトットちゃん』の書体はわかりましたよ。そこでは著者の感覚にちょっとだけ近づけた気がします。

アンソロジー お弁当。 昨夜のカレー、明日のパン 冬虫夏草

冬のフロスト<上> (創元推理文庫) 冬のフロスト<下> (創元推理文庫) 針がとぶ - Goodbye Porkpie Hat (中公文庫)

書き出し「世界文学全集」 文字の食卓

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2013/09/03

夏の読書(の一部)

ちょうどこの空白期間中、図書館に気になる本を片っ端から予約してしまい、
回ってきたら読む、当然買った本はほっておかれる、という状態で
次々と焦りながら読まなければならなくなったのが(予約した自分が悪いのだが)
読書がちょっとしんどいと思うようになった理由でもありました。

そんな状況でも印象に残った本がいくつか。

ほとんど読んでいなかった翻訳ものにちょこっと手を出してみて、
好きなものと全然そうでないものの二極に分かれるのがわかりました。
とはいえ読んでみないとどちらかわからない。
気に入ったのは『コリーニ事件』、少し前に読んだ『湿地』とか、
エンタテインメント系かつわりに単純な話のほうが好きなのかも。
凝ったしかけや修辞法が多用されていると、それだけで疲れてしまうようです。

小説ではほかに『いつも彼らはどこかに』『工場』、
どちらも現実の中の落とし穴的、先が見えない路地的な不気味な話が多くて、
(日本語ではこういうのがいいけど翻訳だと苦手になるんだと思う)
小川さんのほうは全部が動物モチーフだけどかわいいというより相変わらずはらはらするし、
小山田さんのほうは全部ぞわぞわな話。感動的に気持ち悪い、でも不快ではない。
うわこれはきもちわるい、といいつつ喜んで読んでいた気がする...
関係ありませんが、先日見たローカル番組にオランダの風車守が出てきて
即、(これは...「断食蝸牛」...!)と。といってもこの方はふつうの人で
風車の力を使ってピーナッツオイル作っていました。

そしてついに『銀の匙』を読みました。マンガでなく中勘助のほう。
木内昇さんの『ブンガクの言葉』で読んでみたいと心にメモしてはや10年。
...想像していたのと(内容も、自分の感想も)かなり違っていました。
本当に美しい小説だとは思うのだけど、主人公がいけすかない。子供でも。
伯母さんえらいなーというか一ぺんくらい頭のひとつもはたいていいと思うよ...
とつっこみながら読んでいました。名作なのに。

あと『すいか』の脚本、文字でもおもしろくて2冊あっというまに読んでしまいました。
そしてドラマを見た気になってしまい今年はドラマを見る機会を失ってしまった。
秋以降に見てもいいのかしら。
エッセイでは『食記帖』。ふつうのごはんをふつうに作るのがいいわとあらためて。
説教くさい話を読む心の余裕がなくなり、かといっておしゃれライフ自慢もいらない、
淡々と地道な話を、ちょっとだけ洒落を混ぜて書いたものしか受け付けなくなったみたい。
(細川さんの文章はそういうわけでもないけど、淡々とはしている)

コリーニ事件 いつも彼らはどこかに 工場

銀の匙 (角川文庫) すいか 1 (河出文庫) すいか 2 (河出文庫)

食記帖>

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2013/01/22

abさんご

毎回いちおう気にはしていますが、たいてい知らない作家、もしくは名前は知っているけれどとくに興味はない作家のことが多いため、芥川賞も直木賞も受賞作はほとんど読みません。

が、今回は芥川賞の候補者のひとりが75歳でデビューの女性作家と何かで知り、候補作の一部を試し読みできたため好奇心で読んでみると、これは面白いかもと、受賞の有無はともかく単行本が出るのを楽しみにしていました。結果的にこの『abさんご』が芥川賞を受賞したわけですが。

横書きであること、ひらがなを多用している、カタカナを使っていない(というのは実は読んでいる間は意識しませんでした。ぜんぜん違和感がないから)、固有名詞も使っていない、といったスタイルが、とりたてて読みづらいとか、ものすごく新鮮というわけでもなく、むしろ懐かしいような気さえしました。固有名詞のことはともかく、ひらがなの文章は、日本人ならばずっと昔からなじんでいるからでしょうか。
横書きでひらがなの多い日本語の文章という面白さはあると思うものの、文芸書で横書きというのは私はあまり好きではなく、この小説もたて書きならばどう印象が変わるか、興味深いです。

一番面白いと思ったのは、固有名詞だけでなく、時に一般名詞すら避けることで、ラベルをひっぺがしてそのものの本質があらわになった、あるいは自由になった状態に向き合う、こういう表現のしかたがあるのか、ということ。リアルな家族物語でもないし、幻想的なおはなしにもなっていない、ただ「この世界」がある。キャラクターでもストーリーでもないのです。
起承転結のあるわかりやすい「筋」がないと、という人にはちょっと難しいかもしれませんが、読んでいてこれほどリラックスできる(べつにリラックスできるような内容ではなく、家族の問題として緊張する場面もある)小説というのも、なかなかないのではないでしょうか。

装丁が変わっていて、左からは『abさんご』、右からは50年前(!)に書かれた短編が三編読めるようになっています。私は短編のうち、とくに「毬」がとても気に入りました。
短編は縦書きで固有名詞も使われていてスタイルとしては普通ですが、言葉のセンスがとてもいいし、ちょっと個性的な女の子の懐かしいお話かと油断していたら知らぬ間に斬り殺されていたような衝撃があります。魂消ました。

abさんご

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2012/11/22

くまモンの写真集!

いまや熊本県というよりも九州のゆるキャラかという活躍ぶりのくまモン。
(小倉にもグッズたくさんあります。福岡県なんだけど...)
本もいろいろ出ていますが、どれもファンシーで買う気にはならない。くまモンはそのままでかわいいんだから、よけいな演出はいらないのだよ...! と思っていたら、こんな写真集が。

Kuma

他のファンシー本との大きな違いは、ほとんど写真のみで、よけいなテキストなどがなく装丁もシンプルなこと。その写真も浅田政志さんが担当されていて、単純に写真としてとてもきれいなこと。さらに、熊本の名物や名所がさりげなく写っていること。
ついでに(他の本は知りませんが)お値段が高すぎないこと。

すばらしい。

くまモン、どこ行くの?

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2012/08/21

書店員さんのオススメの本、本当に売りたかった本

最近、偶然(でもないか)書店員さんがすすめる本の本を続けて読みました。

THE BOOKS 365人の本屋さんがどうしても届けたい「この一冊」 書店員が本当に売りたかった本>

『THE BOOKS~』のほうは365冊、つまり1日1冊紹介される形式ではありますが、そんなのんきな読み方はしていられないので、興味をひかれた本のページからランダムに読んでいきました。だから結構見落としている本がたくさんあります。ときどき、そういう風にして開いていけばまたその時に読みたい本が目に入ってくるかな、と。
とりあえず、この中から1冊、庄野潤三の『インド綿の服』を選び、いま読んでます。

インド綿の服 (講談社文芸文庫)

存在は知っていたのになぜ読んでいなかったのだろう、一連の丘の家のシリーズに近い、長女・夏子さん(大好き!)の話が中心の小説です。『THE BOOKS~』のおかげで読めてよかった。

『書店員が本当に売りたかった本』は、ジュンク堂書店新宿店のフェアのポップの写真が並んでいるだけといってよく(文章もちょっとあり)、ポップの文を読み、それを書いた店員さんの心を読む、という感じ。
ポップだけで本そのもの装丁がわからないものも多いので、なかなか、よしこの本を読んでみよう!とは簡単に思えないのです。でもたぶん、フェアの現場とは違い、この本(ややこしいですが『書店員が本当に~』)はブックガイドというよりは閉店時の店員さんたちの気持ちを残すためにつくられた本であって、これを参考に選ぶのはまた別の話でいいのかなとも思います。
中にはじつは自分はまだ読んでいないのだけど、というのもいくつかあって、それでもポップ書いてしまう店員さんの気持ちも、よくわかります。(うちにある買ったまま読んでないし処分する気もない本たちが、まさにそれ)

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2012/07/11

某月某日

某月某日

ほむほむとカクちゃんこと、穂村弘さんと角田光代さんの共著『異性』。
私は(気持ちに余裕があれば)読んだ本の気に入った部分を書き抜いているのだけど、この本ではそれをしなかった。できなかったというべきか。
なぜなら、書き抜くとなると、すべてのページを書き抜くことになるから。それくらい、はっとする言葉のオンパレードだった。

某月某日

前々から読んでみたかった、沼田まほかる『猫鳴り』。
正直たぶんこの作家の他の本を読むことはないと思うのだけど、ラストは久しぶりに読書で泣いた。猫を飼っていたらもっと泣くでしょう。飼っていなくても飼ったことがなくても、こんなに泣けたのだから。
子どものない夫婦(と、引きこもりぎみの少年)が各章の主人公で、第1章が奥さん、第3章(最後)が旦那さん、第1章のあの奥さんが数年後そんなことになったのか、と第3章で知ったときは、猫の話とは別にけっこうショックだった。奥さんもう十分に傷ついていたのに...
でも淡々と生活を続けている旦那さんと猫の関係は、とてもいいなと思った。死ぬということはどういうことか、旦那さんとともに、その一面を猫に教えられた。

某月某日

毎日新聞の書評で、日和聡子『螺法四千年記』という本を知る。
あれこれ書くより荒川洋治さんの書評を読んでいただいたほうが早い。
これは『家守奇譚』や『蟲師』の世界にすごく近いのではないか、私が気に入らないわけがない、と、すぐにネットでこの本を注文してしまった。著者のことを全然しらないことも、値段の高さにも目をつぶり...
平易な短い言葉で、今か昔か、彼は人なのか動物なのか、不思議な世界がどんどんつらなっていく。どちらかといえば、ほんわかと明るい世界が、終わりに近づくにつれて不気味に暗くなっていくのは読んでいて不安にかられた。これもまた死のイメージかもしれないけれど、そこに至るまでの、生きるもの同士の交わりこそ大事。

螺法四千年記

某月某日

前にも書いた気がしますが、ベストセラーは早めに購入するか読まないかのどちらか。図書館の何百人待ちなんかしていたら、まわってくるころにはたぶん興味を失っているから。
というわけで、新刊書店で買う気はないのだけど読んでみたくはあるんだよな、辞書って気になるし、と悶々としていた『舟を編む』を「ブ」で見つけた。ありがたい。

某月某日

NHKの「ようこそ先輩」でとてもよい授業をされていた、鴻巣友季子さんの『翻訳教室 はじめの一歩』。
番組の内容を再構成して、さらに日本語をはじめとする言葉との向きあい方、本を読むことについて補足した内容になっている。若い人向けに書かれているので読みやすく、面白くてあっというまに読み終えた。四苦八苦しながら"The Missing Piece"を訳していく小学生の新鮮な解釈や言葉選びに、鴻巣さんと一緒になんども感心してしまう。

翻訳教室 : はじめの一歩 (ちくまプリマー新書)

某月某日

「ブ」にて、もしかしたら家にあるかも、でも買っていなかった気がする...という曖昧さで(まあ2冊あってもよかろうと)村上春樹『村上ソングズ』(家になかった)、これは図書館にもないし「ブ」で見つけられたら、くらいに考えていた『スヌーピーの人生案内2』を購入。
スヌーピーといえばサンデー版コミックス全集が復刻するらしいけど、とにかく置き場所が...

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